経営に必要な会計知識(その1)

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経理と財務の違い

中小企業などの小規模組織では、経理と財務を経営者が一人で担っているケースをよく見られますが、本来は経理と財務は違う役割を果たしています。

まず「経理」とは経費や利益など、企業の中で日々にどれくらいのお金が動いたかを管理するのが経理の役割です。決算書と呼ばれる財務諸表の作成を経理が担当するケースもあります。

一方、財務は経理がまとめた情報を把握した上で、経営戦略に則って事業運営に必要な資金繰りを担当する業務になります。金融機関との折衝も仕事の一つです。

決算書の仕様

経理が作成する決算書は正式には「財務諸表」と呼ばれます。
財務諸表は貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書などで構成されています。
特にこの財務諸表は経営者にとって一年間の経営状況がまとまっているだけでなく、外部にも開示される資料となります。
これは会社法第440条では、“株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。”と定められています。
また、経営状況を把握するために金融機関や取引先、従業員から開示を求められる場合もあります。

財務諸表の中でも
・貸借対照表
・損益計算書
・キャッシュフロー計算書
は財務三表と呼ばれます。
では財務三表とはなにか簡単にご説明いたします。

貸借対照表(Balance Sheet、略称 B/S)
左側が資産、右側が負債と純資産で構成された表。
負債は借金として調達した資金など、純資産は株主から調達した資金など。
資産は調達した資金をどう運用したかが示されています。
従って、資産は負債と純資産とがイコールになります。
表の左側と右側が必ず一致することからバランスシートとも呼ばれています。

損益計算書(Profit and Loss Statement、略称 P/L)
決算日の翌日から次年の決算日までの一年間の売上高に対する利益の割合が示されています。
利益は下記の順番で計算されていきます。
売上高→売上総利益→営業利益→経常利益→税引前当期純利益→当期純利益
の流れになります。こちらは次回詳しく解説いたします。

キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement、略称 C/S)
一会計期間における会社のキャッシュ(現金、現金同等物)の損減を示した書類。
企業の営業活動や投資活動などによってキャッシュがどう増減したのかが事実として示されています。
また2000年の3月期から上場企業にはキャッシュフロー計算書開示の義務が課せられました。

多くの上場企業が年次事業報告書を株主向けにウェブサイトで公開しています
気になる企業の年次事業報告書があればみてみましょう。

【次回に続く】

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