【インク革命】見て、嗅いで、楽しむ
インク沼という言葉をご存知だろうか。
インクはプリンターなどを想像するだろうか。
沼は「どっぷり」という音が聞こえてくるあの沼のことだが、現代社会では沼は趣味趣向の傾向の例でハマると抜け出せないような中毒性のあるものという意味で使われる。
一度ハマると抜け出せない沼とインクが掛け合わされた「インク沼」は万年筆などに使うインクをこよなく愛する人のことを指す。
季節や気分に合わせて色を変更したりするなど、インクに対するこだわりが大きい人のことを主に「インク沼」と言われる。
インクは万年筆だけでなく、インクを入れて使えるボールペンやフェルトペン、インクをつけて使うガラスペンなどがある。
耐水性高かったり、薄く伸ばしたりすることで他の色合いを出すものもある。
性質が噛み合わないとペン先を悪くしてしまうこともある。
そのため出来るだけメーカーが同じインクと万年筆を使うことが推奨されている。
万年筆のイメージは漆黒の円柱に入った厳かなものという非常にお堅いイメージがあるが、実際は気軽に楽しめるものが多い。
一本数千円から買えるものもあり、少し試してみたい場合や筆不精にもうってつけだ。
「インク沼」にならなくとも、少しこだわったインクを使いたいという人のために見たり、嗅ぐことで楽しめるインクについて紹介する。
SAILOR : 四季織シリーズ
一口にインクといっても、数多の会社が星の数ほどインクを出している。
今回は「SAILOR」の「四季織シリーズ」について紹介していく。
SAILORは言わずと知れた万年筆メーカーだ。「セーラー万年筆」という言葉とともに創業から万年筆を取り扱っていた会社だ。
そのSAILORはインクも多く取り扱っており、その中でも「四季織シリーズ」は人気のラインナップとなっている。
「四季」という言葉のとおり、四季に合わせた名前と色の組み合わせで販売されている。
春:若草、桜森、匂菫、海松藍
夏:藤姿、蒼天、土用、利休茶
秋:金木犀、山鳥、奥山、仲秋
冬:時雨、雪明、囲炉裏、常盤松
どれもそれぞれの季節を表すような言葉であり、いくつかが伝統的な色の名前である。
春
若草(わかくさ):春になり新しく芽生えた若い草であるが、淡い緑色。
桜森(さくらもり):桜の森にいるような、優しい桜色をしている。
匂菫(においすみれ):スミレの花の色と同じだが、少し明るい色をしている。
海松藍(みるあい):海松色(深いみどり色)に藍色を足したもので、重たく濃い色。
夏
藤姿(ふじすがた):紫色だが、藤の花の淡い色になっている。
蒼天(そうてん):読んで字の如くだが、夏の空のような透き通った青色である。
土用(どよう):土用の丑の日である鰻の色のような黒に近い色。
利休茶(りきゅうちゃ):黒とも深緑とも言えるような深い色。
秋
金木犀(きんもくせい):金木犀の橙色。黄色すぎないが朗らかな色。
山鳥(やまどり):カワセミのような鮮やかなみどり色。
奥山(おくやま):秋の夕日のような、濃く深い赤色。
仲秋(ちゅうしゅう):中秋の名月を囲うような優しい黒。
冬
時雨(しぐれ):雨が降ったり止んだりする雲のような、どんよりと重い淡い黒色。
雪明(ゆきあかり):雪の白さと雪明りの光を混ぜたような、薄い水色。
囲炉裏(いろり):いろりにくべてある木々の燃えているような暗く落ち着いた赤色。
常盤松(ときわまつ):常盤色の輪郭のはっきりとした色。
ボトルに入った状態では全く違う印象を受けるものが多く、また時間が経つと、異なった色を出すものが多い。
お店によっては試し書きができるので、検討してから購入することもできる。
ぜひ、自分にあった色を探してもらいたい。
エルバン : 香り付きインク
エルバンは1670年にパリで生まれた、老舗の文房具メーカーである。
ここでは香り付きのインクという少し変わった商品を展開している。
・ラベンダーブルー
香り:ラベンダー 色:青
・アップルグリーン
香り:りんご 色:緑
・オレンジアンバー
香り:オレンジ 色:橙
・ローズレッド
香り:薔薇 色:赤
・ヴァイオレットパープル
香り:ニオイスミレ 色:紫
・カカオブラウン
香り:カカオ 色:茶
の6種類ある。
このインクの良いところはインクを入れ替えている最中や書き記しているとき、ほのかに香ることだ。
また、手紙などに使うことで、封を開けた時に香りがするという気品とユーモアに溢れたインクである。
エルバンのインクの良いところは、少ない量のボトルを用意しているというところだ。
一番小さいもので10mlから販売している。
インクは大きな瓶でたっぷり入っているという感覚だが、このエイバンの小さいボトルは気軽にインクを楽しめるものとなっている。
上記の香り付きインクについても小さいボトルでも販売している。
お試しで様々な種類を買ったり、インテリアとして飾ることもできる。
十人十色のインク
最近では自分でインクを作るミクサブルインクなど登場している。
自分だけの色を作ることも探すこともインクを楽しむ一つとも言える。