プログラミング的思考と論理的思考の違い|お弁当で分かる5つの手順
コラム子どもが学校の授業や配られたお便りで「プログラミング的思考」という言葉を聞いて帰ってきたとき、学校でどんなことを学び、論理的思考と何が違うのか気になることがあります。
小学校におけるプログラミングの学習活動は、プログラミング言語の暗記や技能の習得そのものをねらいとしているわけではないため、家庭では具体的な学習のイメージをつかみにくい面があります。
この記事では、文部科学省が示している公式の定義を手がかりに、論理的思考との関係やお弁当づくりのたとえを使って、プログラミング的思考の考え方を順に整理します。
目次
学校で育てる「プログラミング的思考」とは
文部科学省が公表している小学校プログラミング教育の手引(第三版)では、プログラミング的思考を「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」と定義しています。
この定義は手引で新しく作られたものではなく、有識者会議による「議論の取りまとめ」の文言をそのまま採用したものです。小学校プログラミング教育の手引(第一版)(平成30年3月)から第三版(令和2年2月)に至るまで、文言の変更はありません。
定義を3つの問いに分けて読む
一読すると長く感じられる定義ですが、手引が挙げる5つの手順のエッセンスを含んでおり、余計な要素を足さずに分解すると、大人が子どもに問いかけられる3つの問いとして受け止められます。
1つ目は「やりたいことのために、どんな動きが必要か」(動きの組合せ)。2つ目は「一つ一つの動きを、どの記号(命令)にしてどう並べるか」。そして3つ目は「どう直せば、やりたいことに近づくか」(改善)です。
小学校におけるプログラミングのねらい
文部科学省の資料を見ても、小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 総則編の抜粋では、プログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付ける学習活動を各教科等の特質に応じて計画的に行うと定めています。
さらに、学習指導要領における教育の情報化に関する主な記述(巻末資料)によると、小学校におけるねらいはプログラミング言語を覚えることや操作技能の習得ではありません。論理的思考力を育むとともに、プログラムの働きやよさ、情報社会が情報技術に支えられていることに気付かせることが目的とされています。
家庭においても、キーボード入力や難しい専門知識を無理に先回りで教え込むより、まずは身の回りの仕組みに興味を持つことから始めてみるのが自然です。
中学・高校でも育てる考え方
ここから述べる内容は、現在文部科学省の会議で検討されている案の段階であり、確定した方針ではありません。
中央教育審議会 教育課程部会の情報・技術WG 取りまとめ(案)(令和8年7月30日の第12回会議で議論され、8月4日に会議後修正版が掲載された資料)では、プログラミング的思考を情報活用能力の中核に位置付けています。
この取りまとめ案では、プログラミング的思考を、AIへの指示やプログラミングで解決策を実現し、出来上がったものを論理的・批判的に評価・改善して活用するところまでを含む考え方として捉え直しています。そのうえで、小学校だけでなく中学校や高等学校でも継続して育てる力と整理しました。
これは審議会で検討されている取りまとめ案の内容であり、次期学習指導要領への反映など今後の動向を踏まえて捉える必要があります。
もしこの方向で改訂が進めば、小学校の段階で身に付けた「意図に合わせて作り、試して直す」という経験が、中学や高校で道具を使いこなすための基礎として役立つ可能性があります。
プログラミング的思考と論理的思考の関係
プログラミング的思考と論理的思考は、広い思考力の中に特定の実践的な考え方が含まれる関係にあります。
小学校プログラミング教育の手引では、教育の中核を「コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力、すなわち『プログラミング的思考』」を育てることとしています。つまり、プログラミング的思考は論理的思考力の一種として位置付けられており、「含む・含まれる」の関係にあります。

一般的な言葉として論理的思考を捉えると、筋道を立てて矛盾なく物事を考える幅広い力を指します。
これに対してプログラミング的思考は、その広い論理的思考力の中でも、自分が意図する活動を実現するために動きを分け、記号に置き換えて組み合わせ、結果を確かめながら改善していくという具体的な実践のプロセスに焦点を当てた力です。
手引における位置付けとしては、論理的思考という大きな枠組みの中に、意図の実現と改善を担うプログラミング的思考が含まれていると捉えるのが正確です。
算数の正三角形の例で見る違い
手引に掲載されている小学校第5学年の算数「正多角形」の授業例を見ると、この「含む・含まれる」の関係がより具体的に見えてきます。
画面上のキャラクターに正三角形をかかせる場合、コンピュータには通常「正三角形をかけ」という一言の命令は用意されていません。そのため、「長さ100進む」と「左に120度曲がる」という細かな動きに分解し、それらを組み合わせて指示を出します。
これらの命令を3回そのまま並べて書いても三角形はかけますが、「3回繰り返す」とまとめることもできます。手引では、正六角形や正八角形など角の数が増える図形をかく場面まで見通すと、繰り返しを使った方が効率的であると説明されています。

実際の授業例(算数・第5学年「正多角形」)では、正三角形をかこうとして60度曲がると命令すると正しくかけないのはなぜか、という疑問をきっかけにします。話し合いと試行錯誤を通じて、正多角形の角の大きさと曲がる角度(120度)の関係を見つけていく流れが示されています。
このとき大切にされる試行錯誤は、思い通りにならなかった原因を考え、修正して結果を確かめるという筋道立った姿勢です。
「正三角形の内角はすべて60度である」と筋道立てて理解するのは論理的思考の働きです。一方で、それを「進む」「曲がる」という分解された命令に置き換えて組み立て、画面上のズレを見ながら試行錯誤して改善するところまで進むのがプログラミング的思考の特徴と言えます。
お弁当づくりで分かる5つの手順
プログラミング的思考が働く一連の流れは、朝のお弁当づくりに置き換えると身近にイメージしやすくなります(なお、このお弁当のたとえは文部科学省の資料にある例ではなく、独自のたとえです)。
手引では、コンピュータを動かす際の手順として次の5段階を挙げています。
- どんな動きをさせたいかという意図をはっきりさせる
- どんな動きをどの順序でさせるか考える
- 一つ一つの動きを命令(記号)に置き換える
- 命令の組み合わせ方を考える
- 組み合わせをどう改善すれば意図に近づくか、試行錯誤しながら考える
この5つの手順をお弁当づくりに当てはめて考えると、手順は1から5へ進んで終わる一方通行ではなく、手順5で結果を確かめた後に手順2から4へ戻って調整を繰り返す、行き来のある流れとして整理できます。

手順1:どんなお弁当にしたいかをはっきりさせる
最初に行うのは、自分の意図を明確にする作業です。
たとえば「おにぎりと卵焼きとウインナーを入れて、出かける前の7時半までに詰め終える」といったように、中身と仕上がりの時間を具体的に言葉にします。
この意図があいまいなまま作業を始めてしまうと、出来上がったお弁当を見たときに何がうまくいっていないのか、どこを直せばよいのかを後から判断できません。
手順2:どの順番で作るかを考える
意図が決まったら、調理全体の大きな動きを洗い出し、どのような順序で進めるかを組み立てます。
「ご飯を炊く」「卵焼きを焼く」「ウインナーを炒める」「おかずを冷ます」「弁当箱に詰める」といった工程を順に並べていきます。このとき、「温かいまま詰めないよう、詰める前に冷ます時間を取る」といったように、順番の理由を筋道立てて考えるのが要点です。
手順の順序を入れ替えるだけで料理の手際や仕上がりが変わることは、家庭でも子どもと一緒に確かめやすい場面と言えます。
手順3:一つ一つの動きを「命令」に置き換える
全体の工程が決まったら、大まかな動作を誰が見ても同じように実行できる細かな「命令」へと分解します。
「卵焼きを作る」というひとまとまりの作業も、「卵をボウルに割る」「調味料を入れて混ぜる」「油を引いて卵液をフライパンに流す」「火が通ったら手前に巻く」といった小さな動作の連なりです。
これは、先ほど触れた算数の例で「正三角形をかく」という直接の命令が存在せず、「100進む」「120度曲がる」という単位の動きに分けた考え方に通じるものがあります。
手順4:命令の組み合わせ方を考える
分解した命令を、無駄なく実行できるように組み合わせていきます。
たとえば「おにぎりを3個握る」という作業は、「ご飯を取って握る」という同じ命令を3回繰り返す構造として捉えられます。正三角形をかくときに3回の繰り返しを使ったのと同じ処理のまとめ方です。
また、ウインナーを焼いている間に卵を混ぜるなど、複数の作業を並行して進める組み合わせも考えられます。このたとえのように、同じお弁当を作る場合でも、命令の組み合わせ方によってかかる手間や時間に変化が生じることがあります。

手順5:うまくいかなかったところを直して確かめる
出来上がった結果を見て、意図通りにいかなかった部分があれば原因を探して改善します。
もし「おかずの汁がご飯にしみてしまった」「目標の7時半に間に合わなかった」という結果になった場合、どの工程に原因があったのかを振り返ります。汁気をしっかり切る命令を足すのか、あるいは調理の順番を見直すのか、改善点を1か所決めて翌朝に試してみます。
この改善の過程は、手引が示している「どこが間違っていたかを考え、直して、結果を確かめる」という試行錯誤の姿勢に通じるものがあります。結果を受けて手順2や手順3、手順4へと戻り、修正を重ねることで、作業はより意図した完成形へと近づいていきます。
家庭でできる声かけ
この5つの手順は、パソコンに向かっていない日常の会話でも生かせます。
お弁当の汁がしみてしまった場面や日常の片付けでも、手順に沿って問いかけることで、子ども自身が状況を整理する手助けができます。
たとえば、最初の一歩に迷っているときは「何を作りたかったの?」(手順1)、段取りで混乱しているなら「次は何を先にする?」(手順2)、途中で失敗して困っている場面では「どこまでは思い通りにいった?」(手順5)と声をかけてみます。

思い通りにいかなかったときは、「まずは1か所だけ変えて試すようにしよう」と声をかけてみるのがおすすめです。どこを変えたらどう結果が変わったのかを子ども自身が確認しやすくなります。
日常の中で考える習慣を育てる工夫については、1日10分でできる思考力の鍛え方でも実践しやすい視点を紹介しています。
日頃の問いかけは、子どもが自分の考えを言葉にし、思い通りにいかない原因を自ら探るきっかけとして生かすことができます。
プログラミング教室を選ぶときに見ておきたいこと
家庭での声かけに加えて、プログラミング教室の利用を検討するご家庭も多いでしょう。子ども向けの教室を探す際には、教室選び全般のポイントを整理した小学生向けはじめてのプログラミング教室の選び方と授業内容も参考になります。
一般的なプログラミング教室(TETRA UPなど)を検討する際は、ここまで整理した手順を踏まえ、次の3つの視点を持っておくと安心です。
- 子ども自身が作りたいものを決められる環境があるか
- 思い通りに動かない場面で、自分で直して確かめる時間が確保されているか
- 操作や言語の暗記だけでなく、仕組みを理解して工夫する姿勢を大切にしているか
なお、株式会社Knocknoteが運営するプログラミング教室「TETRA UP」では四谷本校を構えており、お子さんの年齢に応じたコースが用意されています。対象年齢と使用ツールは次の通りです。
- キップロ:3〜6歳(プログラミング玩具)
- スクラッチ:小学1年生以上(Scratch)
- ロボット:小学1年生以上(レゴ WeDo 2.0)
- マインクラフト:小学1年生以上(Minecraft Education)
- Roblox:小学校高学年以上(Roblox Studio、言語はLuau)
- Unity:小学校高学年以上(Unity、言語はC#)
TETRA UPでは無料体験会を開催しています。まずはお試しください。
よくある質問
Q. 家にパソコンが無くても、プログラミング的思考は家庭で育てられますか。
A. できます。やりたいことを決め、動きを分けて順番を考え、やってみて直すという流れは、料理や片付けの段取りでも試せます。命令どおりに動いた結果をすぐ確かめられるのはコンピュータの強みなので、慣れてきたらScratchなどを触ってみるのもよいでしょう。
Q. 学校では何年生の授業でプログラミングを扱いますか。
A. 学習指導要領が例として挙げているのは、算数(第5学年の正多角形の作図)、理科(第6学年の電気の性質や働きを利用した道具)、総合的な学習の時間です。これらの例示された単元以外でも、各教科等で取り入れることができます。
Q. TETRA UPでは何歳から、どのコースを受けられますか。
A. 3〜6歳はキップロ(プログラミング玩具)、小学1年生以上はスクラッチ・ロボット(レゴ WeDo 2.0)・マインクラフト(Minecraft Education)が対象です。Roblox(Roblox Studio)とUnityは小学校高学年以上が対象です。
Q. TETRA UPのコースはオンラインでも受けられますか。
A. スクラッチ・マインクラフト・Roblox・Unityのコースはオンラインでも受けられます。通学の場合の教室は四谷本校です。
まとめ
文部科学省の手引において、プログラミング的思考は「コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力」と位置付けられています。筋道を立てて考える論理的思考の枠組みの中に含まれる考え方です。
論理的思考との違いは、意図を実現するために動きを細かく分け、命令として組み合わせて動かし、その結果を見ながら修正していく実践的な手順にあります。
この記事でお弁当づくりと対応させて紹介した5つの手順は、次の通りです。
- どんなお弁当にしたいかをはっきりさせる
- どの順番で作るかを考える
- 一つ一つの動きを「命令」に置き換える
- 命令の組み合わせ方を考える
- うまくいかなかったところを直して確かめる
ご家庭では、工作や料理などの日常の中で「何を作りたかったの?」「どこまではうまくいった?」と手順に沿って問い返す声かけから試してみてください。また、教室選びを検討する際は、子ども自身が作りたいものを決められるか、直して確かめる時間があるか、覚えることだけが目的になっていないかの3点を確かめておくと安心です。
家庭での取り組みに加えて、教室の利用も選択肢の一つです。TETRA UPでも無料体験会を開催しています。無料体験会で、まずはお試しください。
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吉田先生やよっしー、たまによしぞーって呼ばれたりしています。よろしくお願いします。