医療のICT化
コラムICT化の背景
超高齢社会に突入した日本においては、社会保障費の増大や生産年齢人口の減少等、様々な課題に直面しています。
そんな中、政府の健康・医療戦略(平成26年7月22日閣議決定)において「世界最先端の医療の実現のための医療・介護・健康に関するデジタル化・ICT化」が柱の一つに位置付けられており、社会保障費の増大や生産年齢人口の減少等の社会的課題の解決に向けて新たに講ずべき具体的施策として、医療・介護・健康分野のデジタル基盤の構築・利活用の推進が掲げられています。
現存のシステム
電子カルテや患者さんの測定数値を記入するシステムなど既に病院には導入されているものはありますが、あまり活用はされておらずに未だにペーパーに頼った部分を残しています。ペーパーに頼れば金額コスト、保管のコストがかかりその上に人件費のなどもかかり経費がかさんでしまいます。
なぜ経費削減が必要なのか?
お医者さんはお金持ちだから経費削減とは無関係なのでは?と考える方も多いとは思いますが、それはもう昔の考え方です。
医療点数改正などにより増々病院への締めつけも厳しいものとなった今、閉鎖する病院も出てきました。
病院で最もかかってくるお金は人件費です。200床以上の大きい総合病院などでは、医療に携わる医師、看護師、看護助手、レントゲン技師、検査技師、薬剤師、様々な療法士などを雇い、それ以外も医療事務や財務管理をする人、施設設備を管理する人などを雇わないといけません。見えないところでお金がかかっています。医療業界は常に進歩をしなければならない業界です。日々進歩しているからこそ治せない病気も減って来ているのです。
進歩の為には新しい医療機器を購入したり、研究をしなければいけません。購入や研究をするためにはお金が必要です。
しかし保険点数の改正により収入が減っているので、今までの様に使えるお金も少なくなってきました。ですから削減できる経費を削減しなければいけません。
ICT化による経費削減
例えば診察券を入れるだけで治療費を支払い、データが勝手にパソコンに入力され管理の出来るシステムがあればどうでしょうか?
会計事務の人数を減らす事ができ、経費削減に繋がります。領収書もメール送信できれば紙代がかかりません。
遠隔で施設内の設備を監視して確認の出来るシステムがあればどうでしょうか?
間違いなくそこで使っている設備を管理するの人数を減らし経費削減へ繋がります。人間に変わるシステムがあればどんどん経費の削減ができるのです。
今後の医療に必要なシステム
現在日本では病院ごとの医療技術の格差が出ています。
総合病院で同じ種類の科があったとしてもA病院では1、2、3の治療ができてB病院では1、2ができ、C病院では1の治療しかできないなど医療技術にもばらつきがあります。
しかしA病院の患者さんがいっぱいで3の治療が受けれなかったりしたら3の病気の人はどうなってしまうのでしょうか?
3の症状が命に関わる重大な病気であった場合命を落としてしまいます。
ABCのすべての病院ですべての治療ができたらどうでしょうか?
どれだけ命の救われる患者さんが増えるでしょうか?
そこで注目されているのがクラウドサービスです。
クラウドサービスと言えば有名なものがGoogle Driveが有名ですが、近年では医療に特化したもの(NEC、富士通などの製品)が開発されました。
クラウドサービスを使う事で地域連携医療または関係病院内で症例などの共有ができ、医師の腕さえあれば何でも治療が出来るようになるのではないでしょうか?
今の医療では技術の共有こそが患者さんの命を救っていく時代だと思います。
共有される事で救われる命が増えれば今後の医療は更に発展していくはずです。
残念ながらクラウドサービスはまだ普及されていません。
ただ10年後には使っていない病院はないくらいに普及していると思います。
ICT化から発展する医療は必ずあります。
今後も様々な技術が出てくることが期待されるでしょう。
株式会社Knocknote代表取締役。大学卒業後不動産営業に従事した後、ITの重要性を強く感じエンジニアへ転職。ソーシャルゲーム開発、スマホアプリやPepperアプリの企画及び開発、高校でのプログラミング講師などの業務に携わる。2017年1月に創業。現在はプログラミング教育事業、システム開発事業を展開。今後は海外向けの教育事業をさらに拡大させていく事が目標。著書:『作って学べるUnity超入門』(技術評論者)