ロボットは人間の友達となり得るのか
コラムIT技術が進んでいくにつれて、ネット世界の拡大やネットワーク技術の普遍化、
VR(バーチャルリアリティ)といった分野がめまぐるしく進歩していってますね。
それでも空を走る車や宇宙への旅、どこでもドアなんてのはまだまだ空想の世界でのお話ですが、
未来の世界を感じるアイテムの一つである「ロボット」の分野に関しては盛んな
開発と進歩が見てとれるように思います。
その代表格が、現時点では「ペッパー」ではないでしょうか。
ドラえもんのように自身の感情を持って泣いたり笑ったりふざけたり
と自我を持った感情豊かなロボットとまではいかないようですが、
ある程度人間と会話を交わす事が出来るロボットが登場するというのは
少なくとも数十年前どころかあるいは数年前ですら想像が出来なかったのではないでしょうか。
やっぱり人間ではない彼ら
さてそんなロボット達ですが、やはり確固たる市民権を得るには様々な問題があるようです。
よく耳にするのが、所謂映画ターミネータの世界のようにロボット(プログラム)が自我を持ち
人間を敵とみなして攻撃を始めるという恐ろしい話でしょうか。
けれど、それはある意味ロボット技術としては成功している様にも感じます。
プログラムが自分の改善点を見つけ、自分自身を成長させ、自分を守る為に攻撃行動を仕掛けているのでしょうから。
まだ当分そんな世界が来るとは思えませんね。
キカイへの不思議な感情
ロボットへの興味本意と、どこかしらで感じているであろう「その物体」に対する畏怖ともいえる感情。
そんな現象を表す用語として
「不気味の谷現象」というものがあります。
外見と動作が「人間にきわめて近い」ロボットと「人間と全く同じ」ロボットは、見る者の感情的反応に差がでるだろうと予想できる。この二つの感情的反応の差をグラフ化した際に現れる強い嫌悪感を表す谷を「不気味の谷」と呼ぶ。
人間とロボットが生産的に共同作業を行うためには、人間がロボットに対して親近感を持ちうることが不可欠だが、「人間に近い」ロボットは、人間にとってひどく「奇妙」に感じられ、親近感を持てないことから名付けられた。この現象は次のように説明できる。対象が実際の人間とかけ離れている場合、人間的特徴の方が目立ち認識しやすいため、親近感を得やすい。しかし、対象がある程度「人間に近く」なってくると、非人間的特徴の方が目立ってしまい、観察者に「奇妙」な感覚をいだかせるのである。
機械が世界を支配するといった荒唐無稽な話よりも、
むしろこちらの方がロボット分野への直接的な不安・障壁となるのかもしれません。
そもそも人間は見た事ない事柄や自分の頭で理解できない物事を避けたがる傾向にあると思います。
現状のロボットに対しても結局は機械の彼らに対して
「何を考えているか分からない」
「話し方に抑揚がなくて怖い」
などのように、まだまだ馴染みの無い存在故に、どう接すればいいか分からないという
得体の知れない不気味さを我々は何かしら感じている筈です。
確かに、ドラえもんが今まさに目の前に現れたら、果たして素直に受け入れる事が出来るかどうか、、、
甚だ疑問が残るところです。
現実にはありえない、所詮はフィクションの中の登場人物だからと
安心して受け入れられているのは否定できません。
不気味の谷現象については下記のような記述もあります。
不気味の谷の最大の問題は、V字曲線のように本当に感情的反応の肯定が回復するのかという点である。未だ「人間と全く同じ」ロボットが作られたことはなく、本当に完全な人間に近づけば好感度が増すのか、また「人間と全く同じ」になれば好感を持つのかは誰にも分からない。たとえ「人間と全く同じ」だとしても、ロボットだと聞けば不快感を持つ可能性もあり、ロボットが完璧すぎると逆に気味が悪く感じる可能性すらあるのである。
半端にリアルチックでも、見分けが付かないレベルまで進化しても
誰も見た事が無いのだから結局はどうなるか分からないという事ですかね。
しかしペッパーの登場により人間世界へのロボットの浸透は加速度的に進む事が見えてきました。
怖い・気味が悪いで終わらすのではなく、せっかくの可能性に対しては中身を理解しようと試みたり、
逆転の話ですがこちらから歩み寄ってみるというのも必要な選択岐なのかもしれません。
それこそ過度に進化して人間に反逆の意を示すロボットが現れたとしても、
知ると知らないとでは大きな差となり得ることでしょう。
さすがにそんな世界は杞憂であってほしいものですが。。。
株式会社Knocknote代表取締役。大学卒業後不動産営業に従事した後、ITの重要性を強く感じエンジニアへ転職。ソーシャルゲーム開発、スマホアプリやPepperアプリの企画及び開発、高校でのプログラミング講師などの業務に携わる。2017年1月に創業。現在はプログラミング教育事業、システム開発事業を展開。今後は海外向けの教育事業をさらに拡大させていく事が目標。著書:『作って学べるUnity超入門』(技術評論者)